日本にいるころ『山菜狩り』というのは一度もやったことがなかったワタクシ《満》。
自分で収穫した自然のものを食べたのは・・・・。会社員時代によく山の中に仕事で行って掘った自然薯(じねんじょ・・・ヤマイモの別名です)はよく食べたね・・・。すり鉢ですってだし汁で延ばして食べるのよ(地元では”とろろ汁”とか”山かけごはん”と言ってた)
自然のやつはめちゃくちゃねばりが強くて変色するんだけど、味が強くておいしかったよ~(ネギやかつお節やワサビを入れるとさらにおいしくなるのだ)忘れられないふるさとの味・・・(ワタクシだけかもしれないが)。
あとは釣りですかね・・?海だと浜で投げ釣り。子供がやる釣りだからたいした魚はかからないけど、ハズレだと食べたれないカニ、ぎんだべら。当たりだとキス、イシモチ、カワハギあたりかな?これが小・中学生のころ。高校生ぐらいになると友人と川であゆ釣り。でも子供はエサなんか使わないで釣り針をいっぱいつけた引っ掛け釣り(地元では”ゴロ引き”と言っていた)釣れるときは20匹くらい釣れるのだが、それを友人宅の庭で塩焼きにしてバリバリバリバリ食べるのだ(一人で最低5匹は食べた)うまかったね~。(なので大人になって東京で高級店で大金払ってあゆを食べる気にはばかばかしくてならないのだ。)大人になったらセンター街で引っ掛け釣りして円山町で食べるとか・・・・??(ハ、ハ、ハ・・・)
ま、そんなわけで自分で収穫して食べたものってけっこう忘れなれない味になっているんですね。
ワタクシ《満》は30年以上パリでうろうろしているわけですが、山菜狩りや自然料理に詳しい人って聞いたことがないのよ。韓国人のナムル名人みたいなおばちゃんがいたらぜひ弟子入りしたいと思っているんだけど、そんな人も聞いたことがない・・・。
何回か日本人会の企画で【ブーローニュの森で春の七草を摘みましょう】みたいなのはかなり前に見たことがあるけど、ワタクシは”七草粥”みたいな年寄りくさい食べ物はやりたくないのだ。
ワタクシがやりたいのはもう少しマジに”食べるために歩く””生きるために収穫する”みたいなマタギ集団のような、ランドネ+料理グループ・・・なわけで。
パリには山菜料理、自然料理の専門家というのはたぶんいないわけですから、役に立つ情報は皆で考え皆で共有すればいいんじゃなーい?、と思いまして、『Jジョギングクラブランドネ部 自然料理研究会』というのを立ち上げました。
メンバーは、現在のところ《満》とACOさんの2人しかいませんが、そのうちにワラビのお浸しだけでなく・・・、春のフルコース、秋のフルコース試食会なんかできたらいいな・・・、と思っております。役に立つ情報などありましたらいろいろ教えてください。よろしくお願いしまーす。
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【ワラビのアク抜き編】
これが≪満≫一家、大人2人子供2人で収穫したワラビ。これで約4㎏。
これがおいしそうだったので試しに作ってみたワラビの天ぷら。山菜の本には「180度の油で揚げればたいていの山菜はあくが抜けて食べられる」と書いてある・・・、で食べてみると・・・「こりこりしてけっこうおいしいじゃーーん!!」と思った3秒後、口がへの字に曲がりましたね。苦い!というか、シブイというか、エグイというか・・・、とても食べられませんでした。
これが根っこのかたい部分を切り落としてきれいにしたワラビ。バットに入っているワラビは約1,5㎏。これが2つでtotal3㎏。
これが重曹。フランス語だとBICARBONATE DE SODIUM。薬局で売っています。250gで2,95ユーロでした。250gあったら10年間くらい使えるぞ。使っているスプーンはコーヒースプーン。
バットに熱湯を注ぎ、重曹をコーヒースプーンで2杯入れます。(茶さじの大きさ)重曹2杯でワラビ1,5㎏ですから、重曹1杯でワラビ750gの割合。
落し蓋をして重しを載せて1晩置きます。
これでワラビの染色ができる??…という話を聞いたのですが…?
1時間ほど流水にさらして味見してみたのですが、ここで問題発生。・・・ワラビにムラができてしまったのだ。つまりあくが抜けているワラビもあるし、あくが残っているワラビもあったのですね。
これはワラビの太さに関係しているかもしれないし、重曹の量が少なかったのかもしれない(2杯ではなくて3杯だったかも)
でもいつまでも水にさらしていると仕事ができないので、急きょ塩漬けにすることに決定。
今回使った塩はワラビ3㎏に対して塩1㎏。(つまり塩分33%)ふつう塩漬けは塩分15~20%ぐらいですから、これはかなり強めの塩漬けです。このくらいのほうがあくが抜けるかな?と思ったのよ。
これが塩漬けしたワラビ。ランニングシューズのひものようにへなへなしおしおです。
この塩漬けワラビを一晩水につけるときれいにあくが抜けて美味しく食べられるようになっていました。イエーーイ!
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【ワラビの調理編】
ワラビといえばおひたしが定番でありますが、超カンタン料理でもあります。写真は市販のだしつゆをかけてかつお節だけのおひたし・・・。これだけでもおいしいけど、塩漬けするとワラビのヌルヌル、シャキシャキ感は落ちますね。やっぱりあく抜きしたばかりのフレッシュなワラビが一番おいしいのだー。
これも定番中の定番、うーーん、悔しいけどうまいぜー。これは次の日にお茶づけにしてもおいしいし、おにぎりにしても最高においしい春の一品です。
これも山菜の食べ方としては定番の一品。ただワラビというやつは噛み切れないので写真のように揚げると長すぎて食べにくい。少量ずつ揚げるかかき揚げにするといいかな?かき揚げにすると次の日に天丼にしてもおいしいぞ。
かれこれ30年前に知り合いの韓国レストランのパトロンに『おい、満。焼肉おなか一杯食べさせてやるから手伝え―!』と言われて、毎年大量のワラビ採りを手伝っていたことがありました。彼らは太陽でからからに乾燥保存していたのだけど、レストランのおすすめ料理としてこの『牛肉とワラビの炒め物』を出していましたが、けっこう人気でした。
写真はワラビと牛肉のみですが、これにネギを入れても油揚げを入れてもおいしい!簡単に作れておいしい一品です。ぜひお試しあれ!
ワラビは一回で大量に入手できるので、食べるのに少々困る時があるので、そういうときはワラビを山菜というよりも野菜の一種として使わないとなかなか食べきれません。このような炒め物系の料理はなんでもぶち込めるし、けっこう『ヌルっ』とした食感も楽しめて中々おいしいですよー。
これはワタクシおすすめの超カンタンでおいしい一品。あく抜きしたワラビに市販のだしを少量かけてすりおろしたヤマイモをたっぷりのせて海苔をのせます。これだけ。1分で作れます。
ネギを入れてもおいしいし、バルサミコ酢を使ってもおいしい。ただあまり大量に作らない方がいいかな?少しだけ食べるからおいしいかも。
ワラビは酢のものにもけっこうよく合います。この一品にはヌルヌルのお友達で、オクラとタコとわかめが入っています。もちろんこれにもみきゅうりが入ってもおいしいはず。『ヌルヌル』と『ネバネバ』のハーモニーってどんな料理でもけっこうおいしいのだよー。
これも簡単に作れる一品。入っているのはワラビと納豆とネギのみ。これに刻みのりを入れてもおいしいのだ。このようにして食べると納豆が増量するので、1パックの納豆を2人で分けて立寝ることもできます。料理人的には少しネバネバヌルヌルしすぎて下品かな?とも思うのですが、家庭で食べるならおいしければこれでいいのだ。
こもおいしい一品。使っているのは納豆、ワラビ、油揚げ、人参ですが、何もいれてもok。冷蔵庫にあるあまりものなら何でもいいのよ。まず水切りした豆腐をすり鉢に入れてすりこぎでゴリゴリします。ここにゆでた人参、ワラビ、油揚げを入れて、塩・薄口しょうゆと味の素を少々入れてお好みの味にしておしまい。ご飯のおかずにもなるし、酒のつまみにもなります。ワラビは先っぽの葉の部分はぼそぼそしているので、茎の部分だけ使った方がおいしいです。
子供のころ、山菜そばなんぞを食べる大人の気持ちは全く分からなかった・・・。天ぷらそばのほうが絶対絶対おいしいだろー!と思っていたのだ。ところが年くってきた最近は、こういう肉や揚げ物が入っていない食べ物もしみじみおいしいなーと思うようになってきたのよ。若い時は味はわかっても「味わい」というのはわかっていないのだ・・・・。この山菜そばで使っているのは、ネギ・ワラビ・竹の子だけ。竹の子は缶詰でも竹の子でも簡単でいいのだが、水煮の先っぽの部分のほうがやわらかくておいしいよ。この竹の子を油通しして、スープで煮て軽くとろみをつけてあります。軽くお昼ごはんにもいいし、酒を飲んだ後の寒い夜に七味トウガラシを入れて食べるのもおいしいです。個人的には少しザーサイなんか入ってもおいしいのだ。
ワタクシ的には山菜料理を作らせたらナムル文化の韓国系の人が一番だと思っているのですが、料理の作り方を教えてくれるようなアジュモニって知らないのです。これはあく抜きしたワラビに韓国みそとゴマ油を合わせた一品。簡単にできるし、酒のつまみにもおいしいです。
この一品で使っているのは、ワラビ・卵焼き・ほうれん草・もやし・グルジェット(ズッキーニ)・牛肉・卵黄・白ゴマですが、そもそもビビンバップ(五目ごはん)ですから、何を使ってもOK。ゴマ油をきかせて、わかめスープをかけて、コチュジャン(韓国みそ)を入れて混ぜ混ぜするとさらにおいしくなるのですが、あまりぐちゃぐちゃに混ぜるのは・・・日本的・・・美的には・・・??ほどほどにしましょうね。
新宿で飲んでいると、なぜか午前2時頃に冷麺が食べたくなるのだが・・・、夏にお酒を飲んだ後に締めの一品としては最高です。今回使っているのはゆで三枚肉・ワラビ・キムチ・ゆで卵と冷麺。まあ何を入れてもいいんだけどね。本場では洋ナシ(ポワール)を入れると上品になるらしいのですが、冷やし中華みたいにミカンやチェリーが入っているのが嫌いなワタクシ的には使っておりません。熱帯夜の日には最高においしい一品です。
料理の鉄人的にはチャーハンを作らせたら料理の腕前がわかるそうですが、この料理は冷蔵庫のあまりもので作りましょう。今回使用したのは、卵・ワラビ・ネギ・ハム・冷ごはん。毎日毎日ワラビのおひたしを食べると飽きますから、いろいろ混ぜて使ってしまいましょう。このチャーハン、ワラビの食感がシャキシャキしてけっこうおいしいです。
フランスではゆで卵が入ったサラダをニース風サラダということが多いですが、その中にワラビをぶち込んだ一品。ワラビというよりもゆでたさやいんげんだと思っていただければ・・・。
銀座にある三ツ星日本料理店などでは、よく春にワラビを使うそうですが、なんとなく試しに作ってみた一品です。もちろん一流店では食材の発色に気を使うのでこんな色にはならないのだ。でも家庭で食べる煮に、”ワラビは緑色、人参は赤色、竹の子は黄色、大根は白く”、というようにたき合わせして食べる人はいないでしょ?5万円のコース料理の雰囲気だけなんとなく味わえる一品です。
なんとなく刺身の盛り合わせのあしらいに入れてみたのですが、うーーーん、フランス人が見たら「な、な、何だこりゃ~??」と思うでしょうね。あまりおすすめできません。
寒い日にはおいしい一品。まあ何を入れてもいいんですけど。写真の鍋にはキムチ・豆腐・長ネギ・油揚げ・えのきだけ・春雨が入っています。
なんとなく試しに作ってみたのですが・・・、昆布はもっと肉厚のヌルヌルしたやつのほうがおいしいかな?酒のあてにGOODです。
入っているのはゆで卵・ハム・ジャガイモ・ワラビ・グリーンピース、これをマヨネーズであえます。ワラビは野菜だと思っていただければ・・・。先の部分はぼそぼそしているので使わない方がいいよ。
これはYOKOさんの作品。これは紙で巻いてありますが、中華の笹で巻いてもいいかな?食べるともちもちした食感でかなりおいしい一品でした。5個くらいは軽ーく食べられますね。ぜひ食べてみたい人はYOKOさんにお願いしましょうねー。
これは昼食の賄いで作ってみた一品。かき揚げに入っているのはワラビ・玉ねぎ・長ネギ・にんじん。これに山イモとのりが入ります。
こちらは山イモのかわりにとろろ昆布を使った一品。どちらもヌルヌルしてお昼ごはんにいいよ。
これも試しに作ってみた一品。色がとんでしまうので、最後にワラビを合わせるくらいでOKです。
日本料理だと「三つ葉」をひもとして使うことがあるのですが、細いワラビを三つ葉のようにひもとして使うこともできます。油揚げを縛って「きんちゃく」にしてもいいかな??
というわけで、いろいろおためしでワラビワールドを作ってみたのですが、いかがでしたか??いろいろ食べてみると、ワラビの先っぽの部分はおいしくない、とか、ワラビは太い方がヌルヌルしておいしい、とか、少し食べるとおいしいけどいっぱい食べるとおいしくない、とか、食べてみないとわからないことってあるんですね。
さて、今回作った料理の中から、「Jジョギングクラブ 自然料理研究会」のメンバー(…といっても2人しかいませんが)が、一番おいしかったワラビ料理を選んでみました。
今回のBESTワラビ料理は・・・・ジャーーーーーーン!
『ワラビ納豆』です!
これは納豆が嫌いな人には異議があると思いますが、納豆好きの人には禁断の味、マジでおいしいです。
超カンタンに作れる、納豆の量が多くなる、ネギを入れてもかつお節を入れても生卵を落としても見てくれが悪いから人前では・・・?うーーーん。だから「禁断の味」なのよん。
そのほかにもワラビとオクラの酢の物とかワラビの山かけとかがかなり上位にきましたね。やはりヌルヌルネバネバのハーモニーって美味しいのよ。
最後に、試しに作ってみたいのがこれ。
『鉄火丼 Jジョギング風』
作り方は、軽く茶碗一杯のごはんに白ごまとかつお節を軽く振ってマグロの赤みをのせる、その上にワラビ納豆をのせて山イモをかけて刻みのりをのせる、です。
うーーーん。実に下品ですけど、おいしいんだなー、これが。
お酒を飲んだ後の締めの一品に最高です。
さて、「自然料理研究会 春のワラビ編」はこれで終わりでございます。
次のお題は「秋~キノコと栗~」です。
いろいろなキノコと栗の料理の方法などを教えていただけたら嬉しいです。
それではまた秋にお目にかかりましょう。バイバイ。